4月から就職や転職をされた方の一番の悩みといえば、やはり人間関係なのではないでしょうか。
人間関係において、もっとも大事なのは、コミュニケーションスキル。
今回は数回にわたって、そのスキルの伸ばし方についてお話していきたいと思います。
今回はPART1の「挨拶編」です。
「挨拶なんて、そんなのだれでもできるよ。楽勝よ。」なんて思いますよね?
それでは、ひとつずつみていきましょう。
挨拶の意味:“あなたを気にかけています“というメッセージ
挨拶は“あなたを気にかけています”という相手へのメッセージです。
”こちらがあなたを気にかけてますよ”というメッセージなので、あなたから先にすることが大事です。
あなたから相手へ伝える手段なので、小さな声では意味がありません。相手に「あなたのことを気にかけています」とあなたのメッセージが優しく相手に伝えるイメージで挨拶しましょう。
また、状況によって使い分けることも大切です。
病棟の廊下やあらゆるところで会うたびに、「こんにちは」と元気に挨拶をするのは、相手もあなたも気まずい思いをするかもしれません。
廊下をすれ違う時、トイレのあと、辛い内容のインフォームドコンセントがあった後など、場に合わせて挨拶の仕方を変えるとよいですね。
担当時間の最初の挨拶
時間帯に合った挨拶
「おはようございます」「こんばんは」など時間帯に合った挨拶をしましょう。
また、日勤帯で担当の患者へは「〇時~△時まで担当です。今日の入浴時間は〇時ですね。なにかお手伝いすることがあれば、お声かけください。」など、担当時間と今日の一日の流れやケア内容についてふれると良いです。そうすると、患者からの疑問や不安などないか確認する機会となりますね。
相手が話しやすい話題に触れる
挨拶の後に、雑談をすると、患者は親しみを持ち、あなたに話しかけやすくなるでしょう。
雑談の内容は、相手が話しやすい話題を選びます。
(例)
野球好きなら、「ソフトバンクはあと少しで優勝ですね」、
テーブル上に愛犬の写真があるなら、「お写真のワンちゃんかわいいですね。お名前はなんていうのですか?」
身に着けているパジャマについて「素敵なお洋服ですね。とてもお似合いです。」など
季節を感じる一言をプラスする
療養型などで長期入院している患者さんや老人ホームで長期入所している利用者さんは、外の気候に気づきにくくなるため、天気や気候の話を取り入れるといいですね。
(例)「良いお天気ですね。春が近づいてだんだん暖かくなってきましたね。」など
挨拶は平等に
挨拶は担当かどうか関わらずにお部屋のすべての患者さんにしましょう。
なぜなら、声をかけられなかった方は「なんで自分にだけ挨拶がないんだろう」と不安や憤りを感じてしまうかもしれないからです。
担当ではない方とのコミュニケーションの機会は、挨拶くらいになります。
相手に印象良く思われるためには、あいさつの前に、相手のお名前を入れるといいです。
(例)「〇〇さん、おはようございます。」
場面ごとの挨拶の方法(挨拶後に廊下ですれちがったとき、ベッドサイドに家族がいるとき)
挨拶後に廊下ですれちがったとき
患者の視界に入ってから微笑みながら会釈するようにします。
歩いている患者の横または、前方から視線を合わせて、微笑みながら軽く会釈します。
※患者の背後から突然大きな声で呼びかけてはいけません!→ 特に高齢の患者の場合、筋力やバランス感覚が低下しているため、振り返った瞬間に転倒してしまう可能性があります。
いい変化を具体的に伝える
リハビリや体力向上のために廊下を歩いている方であれば、患者のいい変化を具体的に伝えることで、患者の気持ちは前向きになりますし、“あなたを見守っています”“気にかけていますよ”というメッセージにつながります。
(例)「〇〇さん、毎日頑張っておられるので、安定して歩けるようになりましたね。」
ベッドサイドに家族がいるとき
患者と家族の間で、真剣なお話をしているようであれば、視線を合わせずに軽く会釈をして、静かに通り過ぎましょう。
雑談など和やかなお話をしている場合は、ご家族へも挨拶をします。
(例)「こんにちは。本日、〇〇さんを担当させていただいている△△です。なにかあれば、いつでもお声かけください。」
挨拶を返してもらえないときの心構え
挨拶を返してもらえない要因は3つです。
- 気が付かなかった場合
- 気づいたけど何らかの理由で返せなかった場合
- 故意に返さなかった場合
それぞれの要因と、対処方法についてみていきましょう。
気が付かなかった場合
声やしぐさが小さすぎたのかもしれません。
次回からは、そのときよりもやや大きな声やしぐさで挨拶するようにしてみましょう。
気づいたけど何らかの理由で返せなかった場合
痛みや症状の悪化によるものなのか、難聴で聞こえないのか、単に目の前のことや考えに集中していたのか、患者の状態を観察し、ケアやサポートが必要かアセスメントします。
故意に返さなかった場合
スタッフへの不信感などから、挨拶を返さないと思われる場合は、挨拶を返さなかったことを責めるのではなく、不信感を傾聴する機会を別に作ると良いです。
相手が無反応でも挨拶は続ける
たとえ、相手が無反応でもあなたからの挨拶は続けましょう。
“あなたがどうであっても、私はあなたをきにかけていますよ”という相手へのメッセージとなります。
「置かれた場所で咲きなさい」著 渡辺和子さん の本の中に
私のほほえみは、”神さまのポケット“に入ったのだと考える
とあります。相手から思うような反応が得られなかったとしても、いきどおらず、視点を変えられるといいですね。
スタッフへの挨拶
原則は患者への挨拶と同じ
スタッフへの挨拶も原則は患者への挨拶と同じです。
先輩がだれかと話しているのに、間に割って入って「先輩、ちょっと聞きたいんですけど・・」なんて話しかけるのは、相手の話を中断させてしまうことになりますよね。
相手に気づいてほしいときは、挨拶をする相手の視線の先に移動して、目が合ってからするようにします。
緊急時は会話を妨げて話しかけて良い
なにかミスをおかした、患者が急変したなどの場合、その必要な報告・相談など、急を要する場合は、会話を妨げて声をかけて大丈夫です。
(例)
すぐに対応すれば状況が変わる可能性があるとき →「お話し中に失礼します。急ぎでご報告とご相談をさせてください。」
すぐに対応しても、状況がかわらないとき →「急ぎのご相談とご報告があるので近くにおります。お話が終わったらお声かけくださいますか。」
まとめ:たかが挨拶、されど挨拶。挨拶を制する者は、仕事を制する!
本記事では
このような悩みに対して、お話してきました。
繰り返しにはなりますが、本記事の内容は以下になります。
本記事の内容
・挨拶の意味:“あなたを気にかけています“というメッセージ
・担当時間の最初の患者挨拶
・場面ごとの挨拶の方法(挨拶後に廊下ですれちがったとき、ベッドサイドに家族がいるとき)
・挨拶を返してもらえなかったときに心構え
・スタッフへの挨拶
人間は、情報の半分以上を視覚から得ています。
多くの人が「いい看護師」としてイメージする態度でいることは、相手の安心感を増やし、あなたに信頼感を持ちやすくなる、ということですよね。
今回、ご紹介した気持ちの良い挨拶の方法を身に着けて、患者やスタッフとのコミュニケーションを良好にし、仕事がしやすい環境へとつながることを願っています!
この記事は、筆者が転職の失敗経験した後に、コミュニケーションについて学びなおしたことをもとに作成しました。
是非、【看護師の体験談】転職して1か月で辞めた話もご覧ください。
次回は、看護師のコミュニケーションスキルを伸ばし隊!Part2 話を聞くコツ です!こちらも読んで、是非ご自分の看護に生かしてくださいね!
〈参考資料:三瓶舞紀子(2019) . 『看護の現場ですぐ役立つ 患者接遇のキホン』 . 秀和システム 〉